いじめを目撃していながら介入できない、というケースは多いのだろう。「止められなかった」「ただの傍観者になってしまった」という後悔から、さらに口を閉ざす人も少なくないと推測できる。

 また、「いじめ首謀者が、Aに命じてBを無視させる。しばらくしてB側に立ってAを無視させる。どちらもいじめの加害者となった後ろめたさがあるので、いじめられる側になっても黙ってしまう」というケースがあることも聞いた。こうなってくるともう、支配ゲームの様相を呈してくる。

善意のボランティア団体の中で
起こった巧妙ないじめ

 Cさん(30代女性)は、あるボランティア団体での出来事を回想する。

「私は立ち上げ時に関わったあと海外留学で1年ほど団体を離れ、帰国してからまた戻ったんです。立ち上げ時の代表メンバーがほとんど交代したことや、なにかトラブルがあったらしいことは聞いていたのですが、徐々に思った以上に状況が悪いことがわかりました。

 メンバーとして途中参加した40代の女性が問題だったようで……。彼女の良いところは、知識と経験があってフットワークが軽いこと。でも自分が気に入らないメンバーを徹底的に排除しようとする人でした。

 その排除の仕方が用意周到で、排除したい人をXさんとしたら、『Xさんが○○について愚痴を言っていた』『Xさんから仕事を頼まれたので私がやっておいた』『Xさんは仕事をしたくないみたいだ』などのうそをつくんです。そうして少しずつXさんの評価を下げる。

 さらに、中心メンバーには徹底的に良い顔をして、Xさんが異常を訴えたとしても、『でも彼女は一生懸命に頑張っているから』などとかばってもらう。

 私は団体に戻ったときに彼女からターゲットにされて、他のやめたスタッフと連絡を取って初めてその状況を知りました」

 わかりやすい「いじめ」ではないが、それだけに対処しづらいやり方だ。Cさんは言う。

「ボランティア団体だから、善意の人が集まってるっていう前提で考えてしまいますよね。だから人を疑わない人が多い。それにつけこまれたかたちになりました。