部長の「盗聴」で社員が続々と退職、社内の悪口チェックは許されるか
悪口を言われるのを恐れ、盗聴器を仕掛けることは許されるのでしょうか?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

営業部長は会長が勧める自己啓発セミナーを積極的に受けている部員を、成績が振るわなくても昇格させる一方、悪口を言われるのを恐れ、部内にICレコーダーを設置し会話を録音していた。そんなある日、朝礼で部長は録音していた社長と部下の会話を皆の前でさらけ出す。不安を感じた部員は、数ヵ月の間に続々と退職してしまった。事態を重く見た会長は、部長にどんな裁きを下すのか?(特定社会保険労務士 石川弘子)

N社 概要
従業員50名ほどの印刷会社。創業者である先代社長(現会長)がカリスマ的手腕で事業を発展させ、50年近い歴史を持つ。ここ数年は紙媒体の受注が減り、新たな事業を模索している。現社長は会長の娘婿。

登場人物
小山部長:50代前半の男性営業部長で、現会長のお気に入り。会長がハマっている自己啓発セミナーに感化され、部下にも精神論を押し付けている。
中川淳史:30代半ばの男性営業社員。数ヵ月前に現社長に誘われてN社に転職してきた。営業としての能力は高く、客からの評価も高いが、小山部長とはそりが合わない。
大石美穂:20代後半の女性営業社員。要領がよくドライな性格。小山部長を心の中ではバカにしているが、本人の前では仮面をかぶっており、部長のお気に入り。
上田社長:2代目社長で会長の娘婿。40代前半でN社には10年前に入社。会長とツーカーの部長に気を遣う日々。
上田会長:創業者。現在は会長職に就いている。

自己啓発にハマった部長が
部下にも精神論を押し付ける

「お前ら、やる気があるのか!?何が何でも目標を達成しろ!」

 9月最初の月曜の朝礼で、8月の営業成績を発表していた時のこと、前月より成績が悪かったため、小山部長が営業部の社員に檄を飛ばしていた。