【上海】中国景気の失速が政府の優先課題に変化をもたらしている。政府の目下の焦点は、近年の巨額債務の圧縮から、再び成長目標の達成に傾いている。
7-9月期(第3四半期)の中国国内総生産(GDP)は6%増に鈍化し、今年の目標である6~6.5%のレンジ下限に沈んだ。その背後では、インフラ投資や企業への支援の強化を望む政府の意向が如実に表れている。これらはまさに2008年の金融危機後に実施した借り入れと経済拡大を促す政策だ。
中国当局は銀行に対しては融資拡大の余地を与え、地方政府に対しては高速鉄道など大型インフラ投資向けの原資借り入れを促しているほか、米国の対中関税の影響を軽減するため、人民元の下落を容認している。
中国政府はここ数年、GDPの数値目標ではなく、「成長の質」を重視するとの立場を示唆。債務削減を優先課題に掲げていた。だが当局はここにきて再び、成長目標の数値を重視する考えをにじませている。