チリのデモPhoto:Claudio Santana/gettyimages

地下鉄料金引き下げが学生デモ起こす 暴徒化で放火も

 南米のチリでは、10月に入って以降に首都サンティアゴで学生デモが発生して一部が暴徒化した結果、ピニェラ政権がサンティアゴ周辺に非常事態宣言を発令する異常事態となっている。

 昨年来の国際金融市場の動揺などに伴い通貨ペソ相場が下落し、輸入物価への押し上げ圧力が強まったことで燃料価格への上昇圧力が強まるなか、政府が財政悪化に歯止めを掛けるべく地下鉄料金を引き上げたのが学生デモのきっかけである。

 同国ではここ数年、景気減速に伴う歳入減などの影響も重なり、財政赤字の拡大傾向に拍車がかかっている。輸出低迷などを受けて経常赤字も拡大し、「双子の赤字」に直面している。ピニェラ政権にとっては経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)の改善が喫緊の課題となっていた。