知らないと損をする節税のノウハウを、税理士・出口秀樹氏の新著『知れば知るほど得する税金の本』からの抜粋で徹底解説します。今回は、個人の確定申告では欠かせない「医療費控除」について。申告するのは少し面倒でも、申告しないと余計な税金を支払うことに。これまで申告をしてこなかった人も、今年からはしっかり申告をし、支払いすぎた税金を取り戻しましょう。
市販の風邪薬も医療費控除の対象
節税を目指すのであれば、支出した証拠である領収書の保管、集計は欠かせません。努力次第で節税できるものに、「医療費控除」があげられます。
医療費控除とは、その人が1年間で負担した医療費のうちの一定額について、所得の金額から差し引くことができる制度です。この制度を利用するために二つのポイントがあります。
一つは確定申告をすること。もう一つは領収書を保管しておくことです。
医療費控除の対象となる費用は、次ページに記したリストの通りです。病院などでの診療代の他、医薬品の購入についても対象となります。
また、医薬品については処方されたものはもちろん、市販の風邪薬なども含まれます。ただし、サプリメントなど直接医療と関係ないものについては除かれます。
しかし、直接医療と関係ないものでも、医療を受けるための交通費などは医療費控除対象となります。公共の交通手段だとその料金の領収書を受け取ることができませんが、その場合は行った日と目的地に行くまでのルート・金額などをメモして残しておくことで医療費控除の対象とすることができます。
また、タクシーで行った際の費用は基本的に対象とすることはできません。ただし、どうしてもタクシーでなければ病院までの移動ができないなどの特別な事情があれば、対象とすることは可能です。医療費控除対象となる支出の中で少し変わったところでは、歯の矯正、視力回復のレーシック施術の費用などがあります。
また、分べん費用についても医療費の対象となります。これには、妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用も含めることができます。
出産のためタクシーで病院に行くことがありますが、これも緊急を要するということで控除対象として認められています。