中国軍の伝統的戦略の一つであるスパイ活動。6年前にはハワイで元米陸軍将校の男性が27歳の女性の罠にはまり軍事機密を漏らし逮捕・起訴された。中国が得意とする「ハニートラップ」の実態などを暴露した『潜入中国 厳戒現場に迫った特派員の2000日』(朝日新書)の著者、峯村健司氏が、諜報任務を受けた中国人女優の邵小珊(シャオ・シャオシャン)に直撃取材。TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」(2019年9月18日放送)で、その手口と胸の内を明かした。放送の一部を特別に公開する。
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荻上:中国はさまざまな情報工作、情報収集を展開しているそうですね。そうした中で日本の企業、あるいは政治家、あるいは自衛隊とか色々な人を対象に情報収集を幅広く行っています。その中の一つとして、ご著書の中で女性諜報員の話が書かれていました。これはどんな存在なんでしょうか。
峯村:いわゆる美人局(つつもたせ)、英語で言うところのハニートラップについて本書では書きました。中国はこれにずいぶん力を入れているんです。ターゲットとした人物に接触し、色仕掛けで誘惑し、弱みを握って脅すという手法ですね。実際、私が出会った一人は女優の方で、軍の諜報活動を担う総参謀部(現・連合参謀部)第2部(総参2部)に命じられ、ハニートラップをやれと言われていたそうです。しかし本人はやりたくない、助けてほしいと連絡してきたので、会って話を聞きました。章子怡(チャン・ツィイー)のヌードシーンの代役を務めたことでも話題になった女優さんです。その一部始終について本書中で書いています。こうしたスパイ活動は幅広く、日本だけじゃなくてアメリカも含めて行われているとみられています。