JR西日本大幅増益の理由
大規模災害に泣く鉄道事業者

 本州3社の中では最も経営基盤が弱いJR西日本も業績は好調だ。営業収益は7620億円(同3.4%増)、営業利益は1288億円(同13.7%増)の増収増益だった。けん引したのは、営業収益の6割以上を占める主力の運輸業だ。運輸業の営業収益は同4.2%増、営業利益は同17.4%とさらに高い伸びを示している。

 好調の要因としては、ゴールデンウイーク10連休(43億円の増収)とインバウンド(18億円の増収)が挙げられる。2013年から18年まで5年間の訪日外国人旅客数の推移を見ると、全国では1036万人から3119万人と約3倍になったのに対し、関西空港の入国者数は232万人から765万人と約3.3倍に増加している。JR西日本の成長のカギは今後、関空を軸としたインバウンド需要が握ることになるだろう。

 もうひとつ特殊要因として挙げられるのが災害の反動増である。西日本は昨年、6月の「大阪北部地震」、7月の「西日本豪雨」、9月の「台風21号」と、立て続けに大規模災害が発生し、合計82億円の減収要因となった。また、災害対応に伴う超過勤務手当による人件費の増加、代行バス運行など業務費の増加が発生していた。今期は営業収益が前年比4.2%増加したのに対して、営業費用は同1.2%増にとどまったため、大幅な増益につながっている。

 JR西日本の事例に見るように近年、大規模災害が鉄道事業者の経営に及ぼす影響が無視できないレベルになっている。先日の台風19号では、長野県千曲川の氾濫により、北陸新幹線の長野新幹線車両センターが浸水し、新幹線車両10編成が水没するという甚大な被害が発生した。このうち8編成はJR東日本の所有するE7系車両、2編成はJR西日本の所有するW7系車両(仕様はE7系と同一)であり、同線で運用する編成の3分の1が一夜にして失われてしまったのだ。

 JR東日本とJR西日本は2020年3月期中間決算の発表で、台風19号による営業収益の減少や復旧費用の支出等が、通期の業績に影響を及ぼす見通しを明らかにしている。影響額の算定は現時点では困難としながらも、水没した新幹線車両の復旧を断念し廃棄する場合、JR東日本は約120億円、JR西日本は約30億円の損失になるという。

 またJR東日本は、今年10月は台風19号の影響で約120億円の減収が見込まれるとの見解を示している。北陸新幹線の通常ダイヤ復帰には、年度いっぱいの時間がかかる見込みで、業績への影響はさらに拡大が予想される。

 ちなみに2004年10月23日に発生した新潟県中越地震では、走行中の上越新幹線が脱線するなどの被害が発生し、車両の撤去と設備の復旧のため上越新幹線は12月28日まで運転を見合わせた。この時のJR東日本の被害額は140億円の減収に加え、鉄道施設および信濃川発電所の復旧費用に450億円(計上される損失は350億円)、代行バス運転など諸経費に70億円を計上し、2005年3月期決算の経常利益予想数値を200億円引き下げている。今回の台風19号の被害は、これに匹敵するか上回る規模になると考えられる。

訂正 記事初出時より次の通り訂正しました。 1段落目:10月28日にJR東海、29日にJR東日本、JR西日本が2020年3月期中間決算を発表→10月28日にJR東海、JR東日本、JR西日本が2020年3月期中間決算を発表(2019年11月5日 9:35 ダイヤモンド編集部)