そうすることで身軽になったトヨタは、CASE時代でも価値を生むソフトウエアやサービスの領域へ、心置きなく開発コストを注ぎ込める。

 翻って、部品メーカーは相当な苦難に直面する。というのも、クルマの差別化には繋がらないのに、構成部品を造り続けなければならないのだ。しかも、既存のガソリン車向けのCASE領域に対応できる新技術の搭載も必須となる。完成車メーカーからティア1へ。ティア1からティア2へ――。トヨタグループ内での「重複事業の廃止」と銘打たれた、サプライヤーピラミッドの下位企業への「ノンコア部品・儲からない部品」の集約は、今後も増えていくだろう。

 「コストは作り込むものだ」。トヨタ技能者養成所を卒業した工場現場たたき上げの河合満・トヨタ自動車副社長は、あくまでも原理原則を貫く。だが、従来、トヨタのクルマ造りは、ケイレツの下請けメーカーが磨く部品や、部品メーカーによる年間3000億円(グロス)の原価低減があってこそ成り立っているもの事実だ。

 難しいのは、ケイレツ部品メーカーとはいえ、れっきとした独立企業であるということ。建前では、トヨタに依存することなく外販で稼ぎ自立せよというのが、サプライヤー政策の方針である。

 CASE時代に用済みとなったからという理由で、これまでの功労者であるサプライヤーを切り捨てる行為が、トヨタに許されるのか。トヨタの社会的責任はますます重くなっていると言わざるを得ない。

 “ケイレツ犠牲”の上に成り立つ好決算をいつまでも続けられるのかどうか。トヨタは重い課題を突きつけられている。