アベノミクスのもとで、「働き方改革」「生産性革命」など、成長を目指すさまざまな取り組みが掲げられてきたが、個々の企業を強化することと、経済全体の成長力を高めることの間には大きな違いがある。
イノベーションの活性化はGDPを増やすというのが一般的な見方だが、マクロは必ずしもミクロの延長線上にない、という点はもっと認識されるべきだ。
経済には「合成の誤謬」が付きもの
「成長戦略」の“死角”
経済政策の基礎になる経済理論として、ミクロ経済学とは別にマクロ経済学が存在するのは、人間社会の宿命として「合成の誤謬」があるからだ。
ひとつひとつの家計や企業の経済行動が合理的であっても、それが経済全体に望ましくない結果をもたらすことがあるのである。