異形のオスプレイが日本に到着
問題は「安全性」か「主権」か
米軍の垂直離着陸輸送機「オスプレイ」12機が、山口県の米軍岩国基地に到着し、陸揚げされた。今後、岩国基地を拠点に試験飛行を行ない、沖縄県の普天間基地に配備される予定だ。
テレビのニュースで映像を見ると、ヘリコプターと双発のプロペラ飛行機とを足して2で割ったような印象の機体だが、プロペラの角度が変わる様子を資料映像で見ると、素人目には、いかにも不安定で、基地周辺住民の恐怖心がリアルに想像できた。「ウィドウメーカー」(未亡人製造器)という不吉なニックネームも報道されている。
野田首相や森本防衛大臣をはじめ、政府関係者は「安全性が確認されるまで、日本の上空を飛ばないことが、日米で合意されている」と異口同音に言っている。
政府の立場では、こう言うしかないのだろうが、安全性を誰がどのように確認するのかが明確に述べられていないので、これは実質的な意味のない空文だ。
日本の専門家、あるいは防衛大臣などの閣僚が米軍関係者から説明を受けて、それに納得したことにして、「安全性が確認された」という話になり、この異形の飛行物体が日本の上空をパタパタ飛び始める可能性はいつでもある。
世間には、時々、いわゆる空気を読まずに(あるいは、読めずに?)身も蓋もない本音を述べて、情報を提供してくれる人がいる。今回は、岡田副総理が7月1日に山口県で記者に述べたコメントが参考になった。
岡田氏は、日本政府がアメリカ政府にオスプレイの安全性への説明を求めていることを説明したが、付け加えて、配備自体について日本政府には拒否する権限がないと述べた。