香港の抗議デモは5カ月余り前、「法の支配」を守るために始まった。そして19日、中国はいま何が危機にひんしているのかを明確にした。共産党指導部は香港の裁判所の判決を覆す可能性があると警告したが、これは中国の法的な約束に違反している。香港の高等法院(高裁に相当)は18日、警察から身元を隠すためにデモ隊がマスクなどを着用するのを禁じた「覆面禁止法」の効力を停止した。審理を担当した2人の判事は、この法律が行政の恣意(しい)的判断で実施され、容認できないほど広範囲なことから、香港基本法(憲法に相当)に違反するとの判断を示した。この判決は司法の独立性を主張したものとして歓迎できる。中国はこれを不快に思った。政府報道官は19日、香港の法律の合憲性を「判断し決定するのは全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の常務委員会だけだ」とする声明を伝えた。これは、香港の統治に影響する憲法上の問題で最終決定権を香港の裁判所に与えるとする香港基本法の規定に反する。