超富裕層に高い税率を課すことを、目標達成の手段ではなく目標そのものにする人がいる。背景にあるのは、莫大(ばくだい)な資産の存在自体が経済成長や中間層の繁栄、民主主義の足を引っ張っているとの考えだ。進歩派の間には「全ての富豪は失政の産物」との認識もある。エリザベス・ウォーレン上院議員はそこまで極端ではない。しかし、その税制改革案の趣旨は同じだ。年に最大6%の富裕税をはじめとする諸税によって、多くの大富豪や富豪の財産を減らそうとしている。そうした税は、たばこ税が喫煙を抑えるのと同じ程度には、莫大(ばくだい)な財産の形成を抑えるだろう(好ましくない行動を抑えるためのこうした税金は、提唱した英国の経済学者アーサー・ピグーにちなんで「ピグー税」と呼ばれている)。