それが高じると、韓国の外貨調達のコストが上昇する可能性も高まる。さらに、今後、カントリーリスクの回避などを目指し、韓国から海外へ拠点を移す企業は増えることも想定される。企業の海外脱出が続く場合、韓国経済の先行き懸念も高まるだろう。

深刻さ増す
韓国企業の収益悪化

 なかなか韓国企業の業績悪化に歯止めがかからない。主力産業である半導体を筆頭に、化学、鉄鋼、造船など、多くのセクターで業績の悪化が鮮明化している。また、航空会社全6社でも最終損益が赤字に転落した。

 その背景の一つとして、韓国にとって最大の輸出先である中国経済が成長の限界を迎えたことの影響は大きい。輸出を中心に業績拡大を実現してきた韓国企業は、中国経済の減速に直撃されている。

 韓国国内では、大手企業の業績悪化を受けて企業間の資材などの取引価格が下落している。7月から4カ月連続で韓国の生産者物価指数(PPI)の前年同月比変化率はマイナスだ。これは、企業が過剰な人員や生産能力を抱えていることを示唆する。

 企業の操業度が高まりづらいため、雇用環境も悪化傾向にあると考えられる。失業率のデータ自体は低下しているが、それは文化財の監視業務などを中心に、高齢者向けの短期間雇用の急増によって押し上げられている。一方、韓国統計庁の公表データによると、10月、15~29歳までの失業率は7.2%と全体の失業率(3.5%)を大きく上回っている。

 韓国の雇用・所得環境は悪化しているとみるべきだ。それは、韓国の内需関連企業の業績動向からも確認できる。足元、韓国の大手自動車メーカー5社の国内新車販売台数は鈍化傾向だ。また、ディスカウントストアを運営するEマートでも業績が急速に悪化している。

 日米などと異なり、韓国経済は内需の厚みを欠いている。輸出依存度が高い分、個人消費のすそ野は十分に広がっておらず、外部環境悪化のマグニチュードを吸収することは容易ではない。米中貿易摩擦などによって世界のサプライチェーンの混乱が続くと考えられることを踏まえると、当面、韓国の輸出には下押し圧力がかかるだろう。それに伴い、内需も冷え込む展開が想定される。韓国経済が自律的に持ち直す展開は想定しづらい。