LGBT――。レズビアン(女性に惹かれる女性)、ゲイ(男性に惹かれる男性)、バイ・セクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(性同一性障害を含む、当初の性と別の性を生きたい人または生きている人)の頭文字を取った、セクシャル・マイノリティ(性的少数者)を指す呼称だ。海外では、自らのセクシャリティ(性的指向)をカミングアウトして当選する政治家が当たり前のように存在するが、日本ではまだまだ実例が少ない。日本の法制度上は、同性同士のカップルは結婚することができない。ところが昨今では、日本でもセクシャル・マイノリティであることを明かして当選する地方議員が出てきた。そのうちの1人で、現在30代後半の豊島区議会議員(1期目)の石川大我氏に自らの生い立ちから政治的なスタンスまで、じっくり話を聞いた。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 池冨 仁)
豊島区の行政幹部は
理解しようと積極的
Photo by Shinichi Yokoyama
――2012年5月、米国のバラク・オバマ大統領が歴史上初めて公の席で同性結婚の支持を表明したことにより、日本でもLGBTに対する関心が高まってきました。自らがゲイであることを隠さずに豊島区議会議員になった石川さんの身の回りで、LGBTへの関心の高まりを実感する経験はありましたか。
2011年4月に、ボクはセクシャル・マイノリティであることを明かして豊島区議会議員に当選しました。その直後、5月から6月にかけて、区長や副区長、人権関係部門の長などの幹部に「30分ミーティング」をお願いしました。全部で10人ぐらいだったでしょうか。なかには、ボクがゲイであることを知らない人もいましたが、「そもそもLGBTとは~」という話をしに行きました。
その時の反応は、「LGBTって、なんの話ですか?」「ホモ・セクシャルは気持ちが悪い」などという拒絶反応ではなく、総じて「話を聞こう。理解しよう」という姿勢でした。これには驚きましたね。かつてはLGBTの権利を擁護する活動で行政の窓口とかけあっても、まるで理解を得られずに、「ウチでは勘弁してくれ」(=面倒を起こさないでくれ)とまで言われていたことを考えれば、行政の現場は変わってきています。
――なぜ、“お堅い”ことで知られる行政が、いかにもな拒絶反応ではなく、柔軟な姿勢を示すようになったと受け止めていますか。