製作段階から3部作と決まる日本映画初の試みで、総製作費が60億円という破格のスケールも話題を呼んだ『20世紀少年』。その完結編となる『20世紀少年<最終章>ぼくらの旗』が、ついに幕を開けた。
『20世紀少年<最終章>ぼくらの旗』監督:堤幸彦/出演:唐沢寿明/配給:東宝/全国東宝系にて公開中(C)1999,2006 浦沢直樹 スタジオナッツ/小学館(C)2009 映画「20世紀少年」製作委員会 |
昨年8月30日に封切られた『20世紀少年<第1章>終わりの始まり』が興収40億円。今年1月31日公開の『20世紀少年<第2章>最後の希望』が興収30.1億円と、メガヒットを記録してきた同シリーズ。謎が明かされ完結する今回は、これまで以上の興収が期待できそうだ。
そんな『20世紀少年』を生み出したのが、日本テレビの映画事業。日本映画最高の興収を記録した『千と千尋の神隠し』をはじめ、スタジオジブリ作品では見事な成績を残すものの、実写映画では苦戦を強いられていた。その日本テレビが、なぜ実写映画でも強くなり、『20世紀少年』を生み出すに至ったのか。その道のりと、映画作りのこだわりについて、同社映画部門エグゼクティブプロデューサーの奥田誠治氏に語ってもらった。
巨大なライバルに打ち勝ち、
映画化権を獲得
奥田誠治 日本テレビ コンテンツ事業局 コンテンツセンター エグゼクティブプロデューサー。1980年に日本テレビに入社し、編成部を経て、84年に映画事業部に異動。スタジオジブリ作品をはじめ、多くの映画製作に関わる。主なプロデュース作に『東京タワー』『ALWAYS 三丁目の夕日』『デスノート』『20世紀少年』などがある。今後は、『プール』『カイジ』『僕の初恋をキミに捧ぐ』『なくもんか』『ウルルの森の物語』などの映画が公開待機中。 |
冒頭にも記した通り、『20世紀少年』は製作段階から3部作であることが決まっていたシリーズ映画だ。通常、シリーズものは1作目のヒットを受け、続編製作を決定するのが一般的。これなら、1作目の成績をベースに、ある程度の興収見込みも立つからだ。だが、最初から3部作となると話は別。1作目がハズれれば、2作目以降も共倒れとなる危険性を伴う。にもかかわらず、日本テレビはなぜ3部作としたのか? その始まりは、2002年にさかのぼる。
「日本テレビの実写映画を成功させようということで、社内で企画募集をしました。当時は、ジブリ作品は大ヒットするけど、ほかはダメという状況でした。これに対し、弊社の氏家(齊一郎)CEO・会長(現会長)から、実写映画も強くするようダメ出しが入った。そのこともあっての社内公募で、集まった企画は150本くらい。この中から、トップで選ばれた企画が『20世紀少年』だったのです。その頃から、映画化するなら『ロード・オブ・ザ・リング』のような3部作構成にしないと、内容が収まりきらないとは考えていました」