ロシア産の天然ガスを中国に運ぶ総延長1800マイル(約2900キロ)のパイプラインが2日から稼働する。建設費550億ドル(約6兆円)のプロジェクトはエネルギー輸送だけでなく、政治的にも大きな意味を持つ。ガスパイプライン「パワー・オブ・シベリア」は、ソビエト連邦の崩壊以来で最も重要なロシア政府のエネルギープロジェクトであり、米国に挑む2つの大国の協力体制にとって、新たな時代の幕開けを示す物理的な絆でもある。長年にわたりお互いに不信の目を向けライバル関係にあった中国とロシアは、世界の政治や貿易、エネルギー市場に影響を及ぼすべく、経済的・戦略的なパートナーシップを強化している。貿易面で米中対立が続く中、ロシアも欧米諸国との関係が冷え込んでいる。