親の在宅介護に限界を感じ始めた、あるいは周りに頼れる人がおらず将来に不安を感じ始めた。こうしたとき、有料老人ホームへの入居を考える人は多いだろう。だが、各ホームの質や特色は千差万別。中には従業員不足や経営の問題によって、入居者が暮らしづらい「悪質」ホームも存在するのが実態だ。

 そこで「週刊ダイヤモンド」では、介護が必要になった家族のために、あるいは自分のために有料老人ホームを探す際、役に立つランキングを作成した。数多くあるホームから候補を絞り込むときの目安として参考にしてほしい。

 ランキングの対象となるのは、施設が介護サービスを提供する介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)であり、入居定員20人以上、開設後2年以上を経過しているホームである。

 対象エリアは介護付きホームが200以上ある都道府県(北海道、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県)に絞った。各自治体とも、主に要介護状態の人が入る「介護型」と、ある程度身の回りのことが自分でできる人が入る「自立混合型」に分けて、ランキングを作成している。さらに、東京都と神奈川県は、介護型を「5年総費用」の額が2000万円以上と同未満に分類した。

 今回は、その中から愛知県における介護型のランキング上位ホームを紹介しよう。

愛知県・介護型1~10位

愛知県有料老人ホームランキング

 愛知県介護型の1位には、名古屋市港区に所在する東海橋苑が、2位には刈谷市にある博愛ナーシングヴィラがそれぞれランクインした。特に博愛ナーシングヴィラは、ダイヤモンド・セレクト2016年5月号に掲載した同様の老人ホームランキングでも愛知県介護型で3位を獲得しており、安定した運営力を見せつけた。

 博愛ナーシングヴィラの注目ポイントは、介護のサービスの手厚さだ。介護・看護職員の配置比率は、基準を大きく上回る1.5:1以上と充実している。

 とりわけ認知症ケアには力を入れており、認知症の入居者に対して週2回、提携医療機関の精神科医による訪問診療があるほか、高い専門知識とスキルを備えた認知症ケア専門士のスタッフが2人常駐するなど、その人らしさを大切にしたケア(パーソンセンタード・ケア)を実践する。入居者の半数以上が認知症だというが、こうした真心のある介護の手厚さが支持されているようだ。

 もともと博愛ナーシングヴィラは1990年、刈谷市にあるトヨタグループ7社が地域の福祉向上に貢献するために共同で設立したホーム。そのため、トヨタグループという巨大な運営のバックアップだけでなく、経営母体を同じくする刈谷豊田総合病院との連携により、介護に加え医療サービスにも心強い体制があるのが魅力の一つだ。