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親や自分が要介護状態になったとき、有料老人ホームへの入居を考
おすすめの有料老人ホームは？
親の在宅介護に限界を感じ始めた、あるいは周りに頼れる人がおらず将来に不安を感じ始めた。こうしたとき、有料老人ホームへの入居を考える人は多いだろう。だが、各ホームの質や特色は千差万別だ。中には従業員不足や経営の問題によって、入居者が暮らしづらい「悪質」ホームも存在するのが実態だ。
数多くあるホームの中から、当てずっぽうに自分や親に最適なホームを探し出すのは容易なことではない。そこで、介護が必要になった家族のために、あるいは自分のために有料老人ホームを探す際、役に立つランキングを作成した。ホームの候補を絞り込むときの目安として参考にしてほしい。
ランキングの対象となるのは、施設が介護サービスを提供する介護付き有料老人ホーム（特定施設入居者生活介護）であり、入居定員20人以上、開設後2年以上を経過しているホームである。対象エリアは介護付きホームが200以上ある都道府県（北海道、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県）に絞った。
各自治体とも、主に要介護状態の人が入る「介護型」と、ある程度身の回りのことが自分でできる人が入る「自立混合型」に分けて、ランキングを作成している。さらに、東京都と神奈川県は、介護型を「5年総費用」の額が2000万円以上と同未満に分類した。
データを取得できたのは2486ホーム。「週刊ダイヤモンド」2019年10月12日号では、そのうちの上位1100ホームを都道府県別・得点順に掲載したが、今回さらに厳選し、各都道府県のランキング上位を掲載する。
入居率と職員体制の充実度が重要
主な評価項目について解説する。
（1）「入居率」は、そのホームの立地や提供するサービスについて、利用者が下した総合評価ともいえる。特に入居定員が少ない介護型で、オープンから2年以上たっても入居率が80％に満たないホームの多くは、立地や介護体制から見て、料金が割高と判断されていることが多い。入居率はホームの経営にも大きく影響する。低い入居率がずっと続いている場合には、十分注意する必要がある。
（2）「看護・介護体制の充実度」は、看護職員や介護職員が1人当たり何人の要支援・要介護者を見ているかで評価した。人数が少ないほど人員配置が手厚い。この指標では、介護職員の「質」について把握することはできないが、介護に十分な人数をそろえているかどうかは判断できる。
（3）「介護福祉士の介護職員に占める比率」は、国家資格である介護福祉士が多いほど、入居者に対するサービスが向上し、職員教育も充実しているとみて採用した。介護職員の質の向上やキャリアアップを熱心に行っているホームは、介護福祉士の養成に注力していることが多い。
（4）「事業経験」はホームが開設してからの期間であり、10年以上のホームは総じて介護ノウハウを十分に蓄積している。特に2000年4月の介護保険制度開始以前からあるホームは、地域に根差したところが多い。
（5）「介護職員（常勤）の退職率」を指標としたのは、介護スタッフの入れ替わりが激しいホームの場合、良いサービスを提供することが難しいと考えたからだ。退職率は何らかの特殊要因で一時的なものなのか、それとも恒常的なものなのかによって、深刻さがかなり変わってくる。恒常的に退職率が高いホームは明らかに問題がある。
さらに、評価の対象に「口腔衛生管理体制加算」と「認知症専門ケア加算」といった加算体制を加えた。提供サービスの充実度の目安になるためだ
ランキングについて、介護業界からは「表面的な数値だけでランキングすること自体が間違っている」との指摘もある。
確かに、入居を決める際には、複数のホームを自分の目で見て判断を下すことが大切であり、今回のランキングには、建物や設備などのハード面に加え、ホームの雰囲気や職員の接遇といったソフト面の良否は反映されていない。
とはいえ、虚偽や間違ったデータでなければという前提が付くが、ランキングには看護や介護のサービス体制が整い、職員の退職率が低く、結果的に入居率が高いホームが上位に名を連ねている。
ランキング上位のホームで、希望するエリアにあり、かつ予算の範囲内もしくは比較的費用が安いホームを、見学や体験入居の候補にすることをお勧めする。
それでは、早速各地域の有料老人ホームベストランキングを見ていこう。
