鹿児島では1ヵ月で7人が死亡
「住宅型」老人ホームが増加の一途
「老人ホーム6人相次ぎ死亡」「老人施設 1ヵ月6人死亡」「介護担当の全8人退職」「6人と別 入居者死亡」「別の4人への虐待確認 7人死亡の老人ホーム」――。
昨年11月21日から立て続けに新聞報道された。いずれも鹿児島県鹿屋市の高齢者施設「風の舞」で10月中旬から約1ヵ月の間に起きた死亡事件である。
高齢の女性入居者6人が短期間に次々亡くなり、直後に7人目も亡くなった。介護職員全員がその1~2ヵ月前に辞めており、夜間の対応は施設長1人が担っていたという。
同市に「亡くなる入居者が多い」と通報があったことで判明し、県と市はそれぞれ老人福祉法、高齢者虐待防止法に基づき検査に入った。この「施設」は「住宅型有料老人ホーム」である。と言われても、「普通」の有料老人ホームとどこが違うのか分かりにくい。建物の外見や現場の介護状況を見てもほとんど変わらないように見えるからだ。
有料老人ホームには3種類ある。「介護付き」と「住宅型」、それに「健康型」だ。全体の0.1%しかない「健康型」は、健康老人しかいられないので、今や時代遅れとなりつつある。要介護者のための施設が求められるようになったためだ。「住宅型」は元気な高齢者が入居し、要介護状態になっても居続けられ、「介護付き」は入居時から要介護の人向けと見られていた。昨今の状況から、当然「介護付き」が主流であった。
ところが一昨年の2017年6月末時点で、「住宅型」が「介護付き」の定員数を追い越して主役が入れ替わった(図1)。「介護付き」が24万人なのに対して、「住宅型」は25万人になった。「住宅型」は規模が小さいので、施設数ではこれまでも上回っていたが、定員数で初めて逆転した。近年、「住宅型」の施設が急増し、この6年間で倍増以上の勢いだ(図2)。