度を過ぎた補助金が
国内林業衰退の原因

 今年林野庁が公表した農林水産省による調査「木材需給報告書」の「木材価格」を参照すると、ヒノキ、スギ、カラマツなどの木材価格は、高度経済成長に伴う需要の増大などの影響によって1980年にピークを迎え、ここ10年はほぼ横ばいとなっている。

 また、一般に「国産材の方が外材よりも品質がいい」と漠然と思っている人も多いと思われる。しかし、実態はまったくの正反対なのだという。

 田中氏の分析によると、国産材は、森林の手入れを怠って加工法がしっかりしていない上、乾燥させず製材精度も低く、流通の面でも無駄が多いため、質が悪くなっているのだという。

 本来であれば、外材と対抗するためには林業従事者にも何らかの経営努力や改革が必要になる。国もこのままでは、林業全体が産業として尻つぼみになると問題意識を持ったこと自体はよかったのだが、結局過度な補助金漬けになってしまったと、田中氏は言う。

「農業は補助金が多いと聞いたことがある人は多いと思いますが、林業はその比ではありません。機械類の購入や林道・作業道の開削などに加えて、苗植え、草刈り、間伐などそれぞれの作業に対して、補助金が国と地方自治体から支給され、大ざっぱに言えば作業費の7割にあたるお金が与えられます。しかも地域によっては10割全額出る市町村もあります。それだけの援助があれば、自分たちで努力してまでコスト削減しようとしないのは当然です」

 また、2018年から、主伐(山に残された木を伐採すること)に対しても補助金が出るように制度が変わり、ますます補助金がないと成り立たない産業になりつつあるのだ。

 このまま林業が衰退し続けていけば、単に当事者たちが困るだけの問題ではないと、田中氏は警鐘を鳴らす。

「林業は、森林を健全に育てる重大な役割を担っています。森林がしっかり管理されず、ほったらかしになると、木が十分に育たないため、台風や大雨の際に簡単に折れたり、土砂崩れや洪水を引き起こしたりするなど、より深刻な状況を招く可能性が高まる。当事者以外の人にもまったく無関係ではないのです」