補助金全廃で復活した
スイスの林業

 日本の林業は課題が山積しているのが現状だが、やはり諸悪の根源は、補助金にあると田中氏は語る。

 とはいえ、いきなりゼロにすれば、林業は即壊滅状態に陥る危険性が高い。では、どうすればいいのだろうか。

「ドイツやスイス、北欧などのヨーロッパ諸国では、林業は成長産業で日本のような補助金制度は一切ありません。ただ、スイスも90年代まで多額の補助金を出していて、赤字が続いていた時代があったのですが、約20年かけて2005年に環境保全とは別の林業関係の補助金が撤廃され、今では小ぶりながら黒字の森林経営を展開しています。日本の場合、いきなり全廃は現実的でないので、たとえば10年程度の期間を設けて少しずつカットすれば、業者も対応せざるを得ないですし、体力がついた企業は効率化できるようになり、現状よりも改善するはずです」

 しかし、補助金をカットしても残る問題として、そもそも当事者たちが林業に対してやる気がないのも根深い理由のようだ。

「林業に関わっている人の多くは兼業なので、おそらく今だと補助金をなくせば、やめてしまう業者がほとんど。そのような救いようのない状況が長く続いているので、なかなか希望を見いだすことはできません。ですが、補助金がなくなっても、森が好きで林業に希望を抱いている人たちに期待するしかありません」

 田中氏によれば、田舎暮らしに憧れて、林業に参入してくる若者が実は増えているのだという。しかし、やってみて初めて、林業が全然もうからないことに気づき、やめる人も多いようだ。

 補助金がなくなれば、生き残るのが難しい業者が必ず出るのは避けられない。それでも、森林あっての林業は、何よりも長期的な視点が重要だ。

 どちらにせよ、補助金を増やし続ける政策では、林業に明るい未来はやってこない。思い切った改革が国や政治家、林業当事者たちに求められる。