――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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アップルの今年のクリスマス商戦最大の目玉は同社最小の製品になりそうだ。その製品は事業構造をシフトさせる同社の取り組みを複雑化させる可能性もある。
アップルは10月下旬、新型ワイヤレスイヤホン「AirPods Pro(エアポッズプロ)」を発表した。ノイズキャンセリング(雑音消去)機能を搭載し、耳へのフィット感を向上させると共にサイズをより小さくした製品だ。新モデルの価格は249ドル(日本では2万7800円)と、引き続き販売している標準モデルよりも57%高い。現在市販されているワイヤレスイヤホンの中でも最も高い部類に入る。
だがその高額さにもかかわらず、エアポッズプロは飛ぶように売れている。報道によると、アップルは旺盛な需要に対応するため生産量を引き上げた。日本経済新聞は11月27日、アップルがサプライヤーである中国の電子機器受託製造サービス(EMS)大手、立訊精密工業(ラックスシェア)に生産倍増を要請したと報じた。アップルのウェブサイトによると、いま注文すると配送は1月初旬になる予定だ。アマゾンや米家電量販店ベスト・バイでも6日午後の時点で在庫切れとなっていた。