学習塾といえば、どんな田舎町であっても、駅や学校の近くには必ずあるというイメージだ。しかし近年、そんな学習塾の倒産が相次いでいるという。その理由を「知窓学舎」塾長で、教育実践ジャーナリストの矢萩邦彦氏に聞いた。(清談社 岡田光雄)
特に少人数制が経営難
3年すら持たないところも
日本の少子化が止まらない。厚生労働省の発表によれば、2016年に出生人口が初めて100万人を割って以来、18年は91万8397人、19年は90万人を割りそうだ。
子どもの数がハイペースで減っていく中、学習塾の倒産も相次いでいる。帝国データバンクの調査では、18年に倒産した学習塾の数は35件と過去最多だった。なお、本稿では「学習塾」=「小学生が通う塾」という定義で話を進めることとする。
「塾業界では、基本的に開業して最初の3年持たせることができるかが勝負になってきます。なぜなら初年度に入学した生徒が実績を出すためには最低でも3年かかるからです。1~2年で出た実績はその塾の指導力の結果とはいえません。しかし、実績が出ていないうちは生徒がまったく集まらないため、3年すら持たせられない塾が結構多いんです」(矢萩氏、以下同)
満身創痍な学習塾業界の中でも、特に小規模な資本で、少人数制の授業を提供しているビジネスモデルは経営が難しくなってきているという。
「うちのような少人数制の集団指導塾が、一番経営が難しいといわれています。逆に失敗するリスクが少ないのは、大人数の集団指導と個別指導。大人数は単純に生徒数が多ければ経営が安定するため想像しやすいでしょうが、実は個別指導もつぶれにくいようです。なぜなら個別指導は、保護者から講師にクレームが入ったときにすぐにチェンジすることもできますし、生徒さんのコマ数を増やすなど、単価も上げやすいということがあるのでしょう」