社債のデフォルト(債務不履行)が増加している中国で、極めて象徴的な出来事が発生した。天津市が所有する商品取引会社、天津物産集団は今週に入り、発行するドル建て債でデフォルトに陥った。格付け大手S&Pグローバル・レーティングスによると、オフショア市場で20年ぶりとなる国有企業のデフォルトとなった。これまで中国企業のデフォルトは信用力の低い民間企業におおむね限定されていたが、ここにきて政府の後ろ盾がある企業にも広がってきている。背景にあるのは、中国経済の成長鈍化だ。地方政府では税金や土地売却による収入が減少。公的救済措置をあてにするような、モラルハザード(倫理観の欠如)を防止しようとする政府関係者は多い。