日本の景気は、「緩やかな回復傾向を持続する」との見通しが一般的だ。民間エコノミスト40人のコンセンサスであるESPフォーキャスト(7月調査)では、2012年度の実質GDP成長率が前年度比2.3%と予測されている。
しかし、注意を要するのは、夏以降に外需が急速に鈍化する可能性があることだ。欧州では、スペインをはじめとする重債務国の景気後退が深刻化している。バレンシア、カタルーニャといったスペインの自治州政府が、中央政府へ財政支援を要請するとの報道もあり、債務問題は連鎖的な拡大を続けている。
IMF(国際通貨基金)は、ユーロ圏の成長率見通しを、12年▲0.3%、13年▲0.7%と予測している。債務削減のための緊縮予算・歳出削減は、欧州の景気後退を長期化させる可能性が高い。円の対ユーロ相場も、2000年以来のユーロ安水準に沈んでいる。
欧州の景気後退は、対EU(欧州連合)輸出が全輸出の約2割を占めている中国にも波及している。4~6月期の実質GDP成長率は前年同期比 7.6%に落ち込んだ上に、先行きも不安視されている。6月の中国貿易統計では、輸入の前年比が事前予測の11%増に対してわずか6.3%増にとどまっ た。