アップルがツイッターへ投資するという話し合いが進んでいたそうだ。この話し合いはほぼ1年前のことで、現在は中断したままになっていおり、今すぐに両社がどう動くといったこともなさそうである。だが、1年前と言えば、スティーブ・ジョブズがまだ存命だった頃でもあり、いったいどういった意図があって投資を考えたのかが興味深いところだ。
テクノロジー企業の間では、買収は頻繁に行われているものの、相手企業に投資をするというパターンはあまりない。買収は、新興企業でおもしろいテクノロジーを持った企業を、アイデアとパテントと人材ごと取り込むというかたちだ。自社で開発をゼロから始めるよりはずっと手っ取り早い。
一方、投資のケースで思い出すのは、オンライン・オークション企業のイーベイが、オンライン三行広告のクレッグズ・リストに資金を投入したものだ。両社は、一方がモノを売る商売、もう一方が情報、モノ、人とのつながりを無料で提供する商売と、一部重なりはあるものの、相乗効果もよく見えない組み合わせだ。
この2社の関係は、イーベイがクレッグズ・リストに似たようなサービスを開始するにあたって悪化し、イーベイの持ち株が意図的に希釈化されるという出来事もあった。つまりは、投資の失敗ケースだろう。
アップルとツイッターが
生み出す相乗効果とは
アップルとツイッターの相乗効果はどうか。
アップルは、iPhoneやiPadなどのハードウェア、そしてiTunesの音楽サービスは冴えているものの、出遅れているものも少なくない。そのひとつが、ソーシャルネットワークである。アップルは「ピング(Ping)」という、音楽と関連させて仲間をつくるソーシャルネットワーク・サービスを始めたが、人気の方はほとんどない。これだけハードウェアのユーザーがいながら、ソーシャルネットワークに人を引き込めないのは不思議だが、一般ユーザーはハードウェアのデバイスとサービスの提供者は別物として認識しているということだろう。iPhoneを使ってツイッターやフェイスブックなどの外部のサービスを利用するのだ。