つい周囲の空気を読んでしまい、気疲れがたまってどうにかなりそう――そんな人は要注意だ。日々、抑えつけている感情の暴発をなんとか防ごうとして、お酒やギャンブル、さらにソフトドラッグと呼ばれる「捕まらない薬」に走ってしまうビジネスパーソンが増えている。“いい人”が陥る「信頼障害」のわなとは。神奈川県立精神医療センター医療局長、小林桜児(こばやし・おうじ)氏に聞いた。(フリーライター さとうあつこ)
信頼していた同僚がある日突然、失踪してしまいました。大きなプロジェクトの責任者だったため、社内は大騒ぎ。聞けばパチンコ、競馬、競艇、果ては怪しい投資話にのめり込み、相当な借金を作っていたらしいのです。誠実な人柄で普段は温厚そのもの。「まさかあの人に限って」と今も信じられない思いです。
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「上司から理不尽なクレームを突きつけられても穏やかにほほ笑んでいる」
「無理難題にもノーと言わない」
「しんどい仕事は部下に押し付けず、自分で抱え込む」
社内でも有名な“仏のようにいい人”が、じつは酔って暴言を吐く癖があったり、FXやパチンコにハマり借金まみれになっていたり――といった話を耳にしたことはないだろうか。