昔から「コタツで寝ると風邪を引く」としばしば言われる。なんとなく「そんな感じ」はするのだが、きちんとした理由については考えたことはない。そこで、「確証はないものの、理論的には大いにあり得る」と回答してくれた東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科の坂本昌也准教授に詳しい話を聞いてみた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)
コタツで寝ているとき
体内では「ヒートショック」が起きている
日本人が愛する伝統的暖房器具「コタツ」。暖房効率のいい高気密・高断熱の住宅が普及し、床暖房やエアコンのように室内全体を暖めるタイプの設備が当たり前になった現代でも、コタツ人気は根強いものがある。「コタツにミカンで、テレビを見ながら寝正月」に、ほっこりとした郷愁を覚える人も多いだろう。
だが一方で、昔から「コタツで寝ると風邪を引く」という話もある。本当だろうか。真贋(しんがん)のほどを複数の医師に尋ねてみたところ「おそらく正しいであろうという言い伝えのレベルだと思います。湯冷めすると風邪を引きやすくなる、というのと同様で、確証はありません」とか、「確かに理論的には大いにあり得ますが、さまざまな環境を同じにしての検証はできないので臨床研究では証明しにくい。また、あえて風邪を引かせるようなことも倫理的に難しいので、取り組みにくいテーマですね」といった答えが返ってきた。
要するに、医学的な根拠がある話ではないが、うそでもないだろうと…。