日本人の3人に1人が「痔」に悩まされている現代。痔の原因は、飲酒や運動不足などさまざまだが、実は意外にも、冬の寒さも痔の罹患と深い関わりがあるという。(清談社 真島加代)
“隠れ痔主”多数!
痛みがない「内痔核」に注意
「日本人の3人に1人というのは、あくまで自覚症状がある人を対象にした数字です。実際には自覚症状がなく、自分の痔に気がついていない“隠れ痔主”の人はとても多くいます」
そう話すのは、平田肛門科医院 (東京・南青山)院長の平田雅彦氏。痔は大きく分けて「痔核」「裂肛」「痔ろう」という3つの種類があり、なかでも「痔核」は患者全体の6割を占めている疾患だという。
「『痔核』とは、肛門の周辺にできた動静脈瘤の一種です。クッションの役割をしている肛門内の血管が、うっ血や出血を繰り返すことで、肛門内の壁が盛り上がってしまい、垂れ下がったものを指します。形がいぼに似ていることから、一般的には『いぼ痔』と呼ばれています」
肛門内にある「歯状線」というギザギザの線よりも奥にある痔核を「内痔核」、歯状線よりも肛門の近くにできたものを「外痔核」と呼び、痛みや症状に違いがあるそうだ。
「内痔核は重症化しやすいのが特徴です。痛みを感じにくい位置にあるので、肛門からいぼが出る“脱肛”や“出血”によって判明します。痛まないので、何十年も放置して重症化することも少なくありません。排便のときに肛門から痔核が飛び出しますが、小さいうちは自然に肛門内に戻ります。しかし、痔核が大きくなると指で押し込まなければ戻らなくなるのです」