日本人の3人に1人は悩んだ経験を持つという“痔”。症状が進むと、出血や激しい痛みを伴い、手術が必要になることもある。しかし、“いぼ痔”といわれるタイプの痔の治療では、手術をすることなく注射で痔を小さくする治療法が普及し始めている。従来の手術と異なり、治療後の出血や痛みがほとんどないのが特徴だ。日帰りでできる注射療法とは、いったいどんなものなのか。

初期のいぼ痔は
ライフスタイルの改善で治す

 男女を問わず、密かに痔の悩みを抱える人は多い。痔は、大きくわけて3つのタイプに分けられる。一つ目がいわゆる“いぼ痔”ともいわれる「痔核」、二つ目がお尻に膿のトンネルができてしまう「痔ろう」、三つ目が肛門が切れる「裂肛」である。この3タイプの中でも、最も患者数が多く、5~6割を占めているのが痔核だ。

 痔核は、肛門のまわりの血行が悪くなってできるもの。いきみの繰り返しや便秘、激しい下痢、重いものを持ったときなどに肛門に負担がかかってできる。肛門の内側にできるものを「内痔核」、外側にできるものを「外痔核」という。

 実は、内痔核の場合、できた初期には痛みを感じない。そのため、放置されることが多いが、放っておくと“いぼ”が大きくなり、排便の際に便の刺激により出血することもある(重症度I度)。