ニューヨーク証券取引所Photo:Reuters

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 2019年に上場したハイテク企業はかなり重々しい調子で1年を締めくくった。問題は、この新たな重苦しさがどれだけ続くかだ。

 市場が活況に沸く間も、IT(情報技術)分野の著名IPO銘柄は蚊帳の外に置かれた。19年のナスダック総合指数の値上がり率は35%と6年ぶり高水準だったが、昨年上場したIT関連企業の多くは初値を割り込んで1年の取引を終えた。少なくとも9銘柄は、値上がりするように慎重に設定された公募価格さえをも割り込むというありさまだった。評価額が10億ドル(約1100億円)以上の「ユニコーン」も例外ではない。配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズ、同業リフト、ビジネスチャットのスラック・テクノロジーズは、年末時点の株価が平均で上場初日の初値を40%下回った。

 一般投資家が膨れ上がった評価額に尻込みするようになったためだろう。シェアオフィス大手ウィーワークワークの評価額が大きく下がったことで、この心理はさらに強まった。不安定な財務基盤や型破りな経営体制に投資家が二の足を踏んだため、ウィーワークの親会社は昨年9月中旬に予定していたIPOを中止した。それがIPO市場に冷風を吹き込んだ。数十億ドルの評価がついているものの現金を燃焼し続けている企業のビジネスモデルを、一般投資家はあらためて検討するようになった。調査会社ディールロジックによれば、ウィーワークの親会社がIPOを断念して以降で上場した米ハイテク企業は7社にとどまっている。

 19年にウィーワークの上場中止前に上場を果たしたハイテク企業20社のうち16社は、年末までに時価総額が平均23%下落した。これはハイテク株全体と、相場全体の流れに沿わない動きだ。ナスダック総合指数は同じ期間に10%上昇した。

 言い換えれば、足元の強気相場も新規ハイテク銘柄に対する過剰な活況につながってはいない、ということだ。今年上場しようとする企業は、このことを警戒警報と受け止めるべきだろう。十分な資本を持つ未公開企業の数は膨れ上がっている。ピッチブックのデータによれば、今では評価額が10億ドル以上の未公開企業は215社に上る。そのうち有数の規模を誇る企業は年季も入ってきた。つまり投資家は出口戦略に気をもみだし、従業員はストックオプション(自社株購入権)を現金にかえたがっている。ピッチブックによると、企業価値が50億ドル以上の企業26社の業歴は平均で12年超だ。

 ルネッサンス・キャピタルが注目の未公開企業リストに掲載しているうちの60社余りが既にIPOの幹事行を選定したか、IPO申請書を秘密裏に提出した。民泊仲介サイト最大手のエアビーアンドビー(Airbnb)や買い物代行のポストメイツがこれに含まれる。料理宅配のインスタカートとドアダッシュも年内上場を検討しているとの観測が広がっている。

 これら著名企業はいずれも過去数年で爆発的に普及したサービスを手掛けている。だが投資家が利益に一層注目するようになった今、最も大きなユニコーンの魅力さえも薄れた。

(The Wall Street Journal/Dan Gallagher)