ドナルド・トランプ米大統領の2020年の選挙戦略は、16年の選挙で盛り上がった白人労働者階級の支持基盤に大きく依存している。だが同氏は人口統計上の課題に直面する。すなわち、同氏が大統領候補となった前回選挙に比べ、有権者の層がいくつかの点で変化しており、それが民主党を利する公算が大きい。
白人労働者階級が全米の投票資格のある有権者に占める比率は、前回選挙に比べて2.3ポイント低下する見通しだ。彼らは年齢が高くなり、従って民主党支持者よりも死去するペースが速い。彼らがいなくなった穴を、マイノリティーや若者、大卒白人有権者が埋める可能性が高いが、こうした層は民主党寄りの考えを持つ。
つまり、トランプ氏は縮小する支持基盤からより多くの票を引き出すか、さもなければ他の有権者層の票を獲得する必要があることを意味する。
「トランプ氏はある程度の丘を登らなければならないが、(変化する有権者層は)丘の傾斜が若干急になることを示す」。こう話すのは、「ステイツ・オブ・チェンジ」プロジェクトの人口統計学者、ルイ・テイセイラ氏だ。同プロジェクトは2020年の有権者についての評価を行った。
同プロジェクトは、テイセイラ氏が在籍するリベラル系のセンター・フォー・アメリカン・プログレスのほか、中道左派系のブルッキングス研究所、超党派のバイパーティザン・ポリシー・センター、幅広い政治的信条の専門家で組織するデモクラシー・ファンド・ボーター・スタディー・グループといった、異なる立場のシンクタンクからなるジョイントベンチャーだ。
アナリストの話では、トランプ氏は人口統計上の変化に対抗するため、コアな支持者の投票率を押し上げる必要があるものの、その目標は達成可能だという。専門家はトランプ氏と支持者との強力な結びつきを挙げており、さらに大統領の言動が民主・共和両党の支持者の関与を高めていることから今秋の投票率は過去最高となる兆しがあるという。