【ベイルート】昨年末に日本から逃亡した日産自動車前会長のカルロス・ゴーン氏は、自身にかけられた嫌疑を晴らすことを目指すとし、日本の司法当局と日産を辛らつに批判した。
ゴーン氏は滞在先のベイルートで10日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)との単独インタビューに応じた。この中で同氏は、2018年末に日本の当局に拘束されてから失った名誉などを取り戻したい考えを強調した。ただ、名誉を回復し、日産に償いを求めるには時間がかかることは認めた。
「仕事がまだ終わっていないことは承知している」とゴーン氏は話した。インタビューは地中海を見渡すオフィスで行われ、近くには、日本で接触が禁じられていた妻のキャロル氏が座っていた。
ゴーン氏は日本の司法制度を不公正だと厳しく批判し、何年も前に日産を去るべきだったとも述べた。
「ゼネラル・モーターズ(GM)の仕事を引き受けなかったことを後悔している。本当に後悔している」。ゴーン氏は10年以上前にGMの経営に関心がないかと聞かれたときのことに触れ、こう話した。この経緯はオバマ政権下でGMの救済を指揮したスティーブン・ラトナー氏の著作に詳しく記されている。
ゴーン氏は日本の検察が最初に起訴したときの罪状の根拠も非難した。ゴーン氏は日産の有価証券報告書に数年間にわたって報酬を過少に記載したとしたとして起訴されたが、本人は起訴内容を否定している。
ゴーン氏によると、開示せずに繰り延べ報酬として数千万ドルをゴーン氏に支払うアイデアを最初に思い付いたのは本人ではなく、日産の幹部だった。