世界が驚いたゴーン逃亡劇は
それほど突飛ではない?
私はこの正月に「カルロス・ゴーン氏が日本に再来日する」というプロットの短い小説を発表しました。日本にとっての悪夢のシナリオという切り口で「外交官特権を手に入れたゴーン氏を日本政府が逮捕できず、逆に人権問題で世界の批判を浴びる」という内容です。
小説なので荒唐無稽な設定を置かせていただいたのですが、今回はグローバル経営者から見ればこの小説の設定すら「実はそれほど突飛ではない」という話をさせていただきます。
まあ、箱に入って国外逃亡するくらいの人物ですから、ゴーン氏はレバノン政府から外交官の地位を確保するくらいのことは、本当にやってのけるかもしれません。
さて、グローバル経営者の価値観として「国外逃亡する」ことがなぜ突飛ではないのでしょうか。世界的に有能だとされているグローバル経営者の際立った特徴を挙げてみます。
(1)ゴールを常人とは違う形に設定する
(2)目的を達成するためには手段を選ばない
(3)突破能力が際立って高い
(4)変化を起こすための「ゆらぎ」を重要視する
(5)世論を味方につけて行動する
(6)投資収益を確実にあげる
(7)すべての行動が徹底している
このリストに照らし合わせると、ゴーン氏の今回の行動の意味が見えてきます。
普通の人が東京地検特捜部に逮捕されたら、ゴールの置き方としては「無罪を勝ち取る」「不起訴を狙う」、ないしは有罪に追い込まれることを前提に「本当は無実だと世論にアピールする」くらいしか思いつかないと思います。