W杯後はコンディション不良に
食事を含めて肉体を改造中

 開幕戦で対峙したサントリーには日本代表の盟友、流大がスクラムハーフで、松島幸太朗がフルバックでそれぞれ先発していた。特にキックオフ前に図らずも視線が合った後者は、リーチによれば「変なポーズを取ってきた」という。敵味方として戦う前に、笑いを誘ってきたのだろう。

「試合中は本当に集中していないと、目が合ったときにどうしても笑ってしまう。僕個人としては代表では友だちだったとしても、トップリーグの試合中は敵として戦いたいと決めているので」

 日本で開催されるヒノキ舞台へ向けて、実に240日間を超える合宿を行ってきた日本代表は、家族よりも長く、濃密な時間を共有してきた。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチが、身も心もひとつにしようと掲げた『ONE-TEAM』は前出の新語・流行語大賞で年間大賞に輝いている。

 家族のような存在だからこそ、一挙手一投足の違いが分かる。開幕戦を終えた取材エリア。幾度となくリーチと激突した松島は、悪戯小僧のような笑顔を浮かべながらこんな言葉を残している。

「トップリーグへ向けて肉体を改造した、と言っていましたけど、思ったより強くなかったですね。もうちょっと期待していましたけど、まだ休みぼけがあるのかな」

 ワールドカップで繰り広げられた激闘の代償とでも言うべきか。トップリーグの開幕を前にして、リーチはコンディション不良に苦しめられていた。昨年12月に東芝の練習に合流し、年末のトヨタ自動車ヴェルブリッツとのプレシーズンマッチを経て、開幕に臨む青写真を当初は描いていた。

「それがベストのプランだったんですけど、調子をちょっと崩す状態で東芝に合流してしまったので。3週間のリハビリを消化しながら、今週の月曜日からフルメニューができるようになりました」

 通常ならば年をまたいで開催されるトップリーグが1月の開幕となったのも、日の丸を背負って戦った選手たちに十二分な休息期間を与えるためだった。年末年始をリハビリにあて、他の日本代表選手たちが審査員として出演した、大晦日の紅白歌合戦などのテレビ番組も自粛していたリーチは今月6日から全体練習に復帰し、まさにギリギリで開幕戦出場に間に合わせていた。

 調整を進める過程で最も気にしていたのが体重だった。ワールドカップ期間中の113キロが、終了後に生まれ故郷のニュージーランドへ帰省した時の105キロから、日本へ帰国して1週間で109キロに再び増えた。これ以上増えれば、下半身などに不必要な負荷がかかってしまうと判断したのだろう。