民主主義は決して政府の最良の形態を意図したものではなかった。むしろ民主主義の美徳は単に、統治される側の利益を統治する側の利益より優先することにある。しかし今日、世界中の民主主義国家は通常よりも混乱し、機能が低下しているように見える。独裁的リーダーらがこうした傾向を声高に指摘し、そこにつけ込もうとする一方で、民主的リーダーらは何かが軌道を外れてしまったのではないかと思案に暮れている。米国では党派間の分断が進む中、ドナルド・トランプ大統領が弾劾訴追を受けている。米上院は間もなく、トランプ氏を罷免するかどうか投票にかける。英国では2016年に有権者が欧州連合(EU)からの離脱を選択した後、政府はその方法について合意するまでに3年間を要し、3人の首相がもがき苦しんだ。