【名言に学ぶ】「ちょっとなに言ってるかわからない」でわかる伝え方の落とし穴とは?
戦略コンサルやシリコンバレーの経営者、MBAホルダーには、共通点があった。「伝える内容を1つに絞り、1メッセージで伝えて、人を動かす」ということ。プレゼン・会議・資料作成・面接・フィードバックなど幅広い場面で成果を上げるノウハウをまとめた書籍『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』から一部抜粋して紹介する。

【名言に学ぶ】「ちょっとなに言ってるかわからない」でわかる伝え方の落とし穴Photo: Adobe Stock

お笑いネタの中に、コミュニケーションの学びあり

 休みになり、仕事から離れて充電しているとき。こんな仕事に向き合っていないときでも、仕事に役立つことを学べることがある。そして、そんな学びが、休み明けの自分を変えたりもする。

 わたしが学びの宝庫だと思っているものの一つは、お笑い、特にコントのネタだ。コントでは日常のコミュニケーションのやりとりを笑いにしているものが多く、そこにコミュニケーションの学びが詰まっていたりするのだ。

サンドウィッチマンの「ちょっとなに言っているかわからない」に学びあり

 たとえば、お笑いのネタの中で出てくる次の台詞を聞いたことがある人は多いだろうし、休み中に耳にする人もいるだろう。

「ちょっとなに言っているかわからない」

 これは、サンドウィッチマンの有名なコントでの台詞だ。ツッコミ役の伊達みきおさんが、ボケ役の富澤たけしさんにいろいろと伝える。どれもが至極まっとうなことなので観客には頷くほどに十分に伝わっている。しかし、それを伝えられた富澤たけしさんだけは「ちょっとなに言っているか分からない」と言う。それに伊達さんが即座に「わかるだろ」や「わかれよ」と突っ込む。観客も一緒に内心で「わかるだろ」や「わかれよ」と突っ込んでいて、笑いが溢れる瞬間だ。

 この場面には、「伝わる」ということはどういうことかの学びがある。

サンドウィッチマンに学ぶ「伝える」と「伝わる」の違い

 コミュニケーションにおいては、いろいろと「伝える」ことをしたところで、相手に「伝わる」かはわからないということだ。「伝わる」かどうかはどこまでいっても相手次第であり、自分ではなく相手が決定権を持っているのだ。

 これは、お笑いの中だけではなく、仕事においても言えることだ。

 上司にいろいろと報告をする。顧客にいろいろと説明をする。部下にいろいろとフィードバックをする。しかし、そうしていろいろと頑張って伝えたところで、相手に伝わるかはわからないし、伝わったかは相手が決めることなのだ。

 そうであれば、コミュニケーションにおいては、自分がなにを伝えるべきかに一生懸命に考えを巡らせるよりも、相手がなにに関心があって、相手がなにを聞きたいのかに想いを馳せた方がよい。どんなに素晴らしいことを伝えても、相手が関心を持てず、相手に伝わらないのであれば、なんの意味のない単なる音でしかないからだ。

自分の伝えたいことのほとんどは相手にとって「ノイズ」だから、一つに絞ってシンプルに伝えよう

 自分が関心があることと、相手が関心があることは、人が多様である以上は、ほとんどの場面で異なる。このため、残念な現実だが、コミュニケーションにおいては、自分の伝えたいことのほとんどは相手にとって迷惑な「ノイズ」なのだ。

 相手にノイズをたくさん伝えていては、それに混ざってどんなに相手に意味のあることを伝えていても、ノイズの海に埋もれてそれすらも伝わらなくなる。

 だからこそ、自分の伝えたいことは、一つに絞ってシンプルに伝えるのがよいのだ。面白いもので、言葉数を多くして伝えるよりも、言葉数は少なくても相手に「伝わる」量は増えることだろう。

 休み中で仕事から離れていても、お笑いなどの身のまわりのいろいろなことからもコミュニケーションは学べる。そうして自然と学べていると、休み明けの仕事において、成長した新しい自分に出会えたりもするのだ。

(本原稿は『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』を一部抜粋・加筆したものです)