昨年12月下旬に公開された映画「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」は、評論家や1970年代から見続けている中高年ファンの厳しい批判を浴びている。
しかし、興行収入は同シリーズ中でも好調で、2020年1月中旬で既に世界で10億ドルを超えたという。若い世代は細かいことにこだわらずに楽しんでいるのだろう。
筆者は制作が米ディズニーに移ってからの作品に失望したので、今回は見ないつもりでいた。話を盛り上げるためのご都合主義的展開が多過ぎるためだ。
ところが、テレビ東京「モーニングサテライト」で共演したパックン(パトリック・ハーラン氏)は意外にも「すごく面白かった」と語っていた。「期待値を下げれば全然楽しめる」という説明に「なるほど」と思い、そのスタンスで臨んでみると確かに楽しめた。
だが、この経験を東京に住むスター・ウォーズ好きの英国人に話したところ、「甘過ぎる」と批判的だった。このシリーズには長年のファンが多いだけに「それは違う、俺にも言わせろ」という人がとにかく多い。パックンも言っていたがエコノミストの中にもそういう人々がいて、大真面目に意見を戦わせている。
例えば、光速を超える航法を持ち、アンドロイドを日常的に用いる超高度な文明でありながら、危険な仕事や過酷な仕事は依然、人間(および他の星の人型生物)が担っている。戦闘機の操縦がそうだし、幼少期のアナキン・スカイウォーカー(後のダース・ベイダー)のように奴隷も多い。
テクノロジーがどんなに発達しても人間の活動全てを機械が取って代わることはできず、所得格差もなくならないのかもしれないと、英誌「エコノミスト」(15年12月19日号)は類推している。