三体_書影
左から中国語、日本語、英語版の『三体』。ほかにもポーランド語やロシア語などに翻訳されている

昨年7月に日本語版が発売されるや一躍ブームとなった中国のSF小説『三体』。だが、韓国ではわずか数百冊しか売れず大失敗に終わった。日本での異例の大ヒットはいかにして生まれたのか。著者の劉慈欣氏、および、『三体』日本語版を含めた海外著作権エージェントであるタトル・モリエイジェンシーの森健一社長に話を聞いた。(『東方新報』取材班)

 日本では多くの海外文学作品が翻訳されているが、中国文学はいまだメジャーな存在とはいいがたい。そんな中、昨年7月に発売されるや1カ月足らずで販売が10万冊を超えた中国SF小説『三体』は大きな奇跡と見られている。いまだかつて日本でこれほど高い評価を受け、かつ、これほど売れた中国の文学作品はなかった。

 近年、出版業界における日中間の交流は深まってはいるが、日本の書籍が中国語に翻訳されるケースが主であり、その逆はいまだに少ない。

 なぜ、『三体』はこれほど日本の読者に受け入れられたのだろうか。

日本のSF市場の発展は
アニメ文化がけん引

『三体』著者の劉慈欣氏は、三体が日本で売れた理由として、SF小説の読者層の厚みを挙げる。

 劉氏によれば、「欧米のSF小説の翻訳版が中国に比べてはるかに充実している。例えば、米国のSF作家マイケル・クライトンの作品は、日本ではそのほとんどが翻訳されている。この点だけを見ても、日本のSF文学の発達レベルが分かる」という。

 かくいう劉氏自身、日本のSF小説の影響を大きく受けてきた。劉氏によれば、日本のSF作品は昔から読んでいて、特に大きな影響を受けた作品は小松左京の『日本沈没』だという。

 なぜ日本のSF小説はそれほど発展してきたのか。