空飛ぶタクシーSA-1一度に飛べるのは乗客4人まで 写真:長野美穂

毎年1月、CTA(全米民生技術協会) が主催し、ネバダ州ラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー見本市、CES(Consumer Electronics Show)。今年も1月7日から10日まで開催された「CES 2020」に潜入し、これから世界で注目されるかもしれない、最先端イノベーションの萌芽を探ってきた。トヨタ自動車の「街の建設」、ソニーの「自動車」など、日系企業による異業種へのチャレンジも目立った今回、話題になった催し物の背景に根付く、企業関係者の「熱い思い」をリポートする。(取材・文・撮影/ジャーナリスト 長野美穂)

自動運転は当たり前!
CESで見たクルマの超技術

 自動運転カーはもうすでに当たり前。それにプラスして、どれだけ新鮮で面白いモビリティ価値を提供できるか――。それが「CES2020」の目玉の1つだった。

 飛行機とヘリコプターを合体したような「空飛ぶタクシー」を発表し、注目を集めたのが、韓国の大手自動車メーカーの現代自動車(ヒュンダイ・モーター)だ。

 銀色の翼がついた「空飛ぶタクシー」のコンセプトモデル「SA-1」の機体には、合計8つのプロペラがついている。そのうち4つのプロペラは垂直から水平に角度を自由に調節することができる。つまり、機体が垂直に飛び立った後は、進行方向に効率良く進むように、飛行中にプロペラの向きを調節できる仕組みだ。

 実は昨年のCESで、米老舗ヘリコプターメーカーのベルが、巨大なドローンのような形の「ベル・ネクサス」を発表し、“空飛ぶタクシー”に先鞭をつけたばかり。今回の現代の機体は、ベルが開発した機体とどこが違うのか。