老舗メガネ店が
若者向けで成功できた!

 となると、困るのが中価格帯のメガネを取り扱っている個人経営店だ。山下氏によると、「メガネ店は格安メガネを売るチェーン店と、高価格帯の個人経営店に二極化している」という。

「格安商品を売って利益を上げられるのは大手チェーン。大きな資金力があって、膨大な顧客を抱えているからです。中価格帯のメガネを売っている個人経営店が同じことをしても、最初は人が来るかもしれませんが、売り上げにはつながりにくい。実際に業績が落ちている店舗はいくつもあります」

 業績が落ちれば、閉店は避けられない。これが、メガネ店が減っている原因の一つだ。また山下氏は、店舗数が減っている原因に、親世代が子どもに店を継がせないというパターンが増えていることも指摘する。

「メガネがたくさん売れた良い時代もありましたが、今はそうではありません。特に、個人経営店を悩ませるのが顧客の高齢化です。年末が近づくと、欠礼状が山のように届きます。そんなことが毎年続けば危機感しかありません」

 個人店が存続していくためには、顧客に若い世代を取り込むことが必須だと山下氏は言う。

「その店に欲しいものさえあれば、どんな世代のお客さまでも、必ず来ていただけます。私がそれを実感したのは、芸能人がつけていたのと同じモデルのサングラスを入荷したときのことです」

 2000年初頭、山下氏がテレビを見ていると、ある人気男性アーティストが、インパクトのあるサングラスをつけているのが目に入った。スマホもSNSもない時代、山下氏はネットの掲示板を駆使し、そのサングラスを販売している店を突き止めた。

「それは原宿にあるファッション雑貨の店にありました。意外なことに、有名ブランドでもなんでもなかったのです。その場で店と交渉し、箱ごと買って持ち帰りました。そして、自分の店のHPに取り扱い商品として掲載したのです」

 すると、情報を聞きつけた若者たちがどっと押し寄せたという。

「恐らく、ファンコミュニティーなどで『あの店に同じモデルがある』という情報が共有されていたのでしょう。うちの客層にはいなかった若い世代の方々がたくさん来るようになりました」