iPhonePhoto:Reuters

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 アップルにとって、主力製品の売れ行きが好調なのは必ずしも有益なことではない。

 アップルが28日午後に発表した2019年10-12月期(第1四半期)決算は、「iPhone(アイフォーン)11」シリーズが正真正銘のヒット製品であることを証明した。iPhoneの売上高は前年同期比8%増の約560億ドルとなり、1%減少というアナリスト予想を覆した。

 ウエアラブル製品の売上高も同37%増の100億ドルとなり、アナリスト予想を上回った。人気のワイヤレスイヤホン 「AirPods(エアポッズ)」などの製品の旺盛な需要が後押しした。

 過去4四半期は減少が続いていたiPhone売上高の伸びは、ここ1年余りで最高を記録した。アップルは2020年1-3月期(第2四半期)についても好調な見通しを示した。第2四半期は「iPhone SE」の後継となる新たな低価格機種の発売が予想されており、それが追い風になるとみられる。アップルの第2四半期売上高見通しの中間値はアナリスト予想を4%上回った。

 アップルの売上高の60%以上を占めるiPhoneが重要な製品であることは明白だ。しかし、今回の決算と見通しは、サービスへの軸足シフトという同社の継続的な戦略とは矛盾している。第1四半期のサービス売上高は前年同期比17%増の127億ドルと、前期のペースからはやや減速し、アナリスト予想も3%近く下回った。

 これは投資家にとって事態を複雑にする。アップル株は過去12カ月で100%以上急伸。予想PER(株価収益率)は24倍を超え、ここ10年余りで最高となっている。これを後押ししてきたのは、利益率の高いサービス収入の好調な伸びと年内に発売が見込まれる次世代通信規格「5G」対応のiPhoneへの高い期待だ。

 しかし、サービス収入は足元で著しく減速している。また、iPhone 11の売れ行きの良さは、アップルの多くの顧客が5G対応端末の発売を待つつもりがないことを示している。アップル株は決算を受け、時間外取引で1%強上昇するにとどまっている。

 複雑さは必ずしも歓迎されない。

(The Wall Street Journal/Dan Gallagher)