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単身で老いることは、自由と同時に大きなリスクも伴う。介護の担い手を確保できるか、必要な支援を受けられるか、そして孤独とどう向き合うか。家族を前提に設計された制度のなかで、単身高齢者に降りかかるリスクについて解説する。※本稿は、家族社会学者の山田昌弘『単身リスク 「100年人生」をどう生きるか』(朝日新書)の一部を抜粋・編集したものです。
介護保険制度で状況が一変
高齢者施設も多様化
私の祖母は当時としては長い人生を全うしたが、その背景には比較的安価で高齢老人の世話をしてくれる病院の存在があった。当時は三世代同居が一般的で、家族内での介護が前提とされたものの、必要に応じて生活支援を目的とした病院や公共の老人ホームに入居することができた。
しかし、2000年に介護保険制度が導入されると、「介護」環境は一変した。これまで行政措置によって決定されていた老人ホームへの入所が、利用者自らサービスを選択し、契約する「自由化」へ移行したのだ。
高齢者が過ごす施設も多様化した。公的施設では「特別養護老人ホーム(特養)」や、リハビリを中心とした「介護老人保健施設(老健)」、「介護医療院」などがつくられ、その他民間施設では24時間体制で介護サービスが受けられる「介護付き有料老人ホーム」や、「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」などが次々に登場していった。
これまでいくつかの「自由化」の流れを見てきたが、高齢者を取り巻く環境も同じ流れをたどった。つまり一見、自由で多様な選択肢があるようで、それらを自由に選べるかどうかは、経済力に大きく左右されるようになったのだ。







