会議のあと、妙に消耗して何もする気が起きない。オンライン会議の予定がカレンダーに並ぶだけで、気分がずしっと重くなる。話すこと自体は嫌いじゃないのに、なぜこんなに疲れるのか。そんなコミュニケーション疲れを感じている人に届けたい本がある。『頭のいい人が話す前に考えていること』(安達裕哉著)だ。本記事では、「反応しすぎること」が疲れの原因になる理由を、本書から読み解いていく。(構成/山守麻衣)
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「すぐ返さなきゃ」が、疲れの正体かもしれない
会議で質問されたら、すぐ答えなければいけない。
チャットが来たら、すぐ返信しなければいけない。
「既読」がついたら、早くリアクションしなければいけない。
そんな「即時性」のプレッシャーの中で、頭の中は常に「どう返すか」「何と言えば正解か」を探し続けている。
話す内容そのものではなく、「反応し続けること」に疲れている。そう感じることはないだろうか。
安達氏は、その疲れの構造を解き明かしている。
怒っているとき、人は全員頭が悪くなる
本書は、ここを容赦なく言う。
「要するに、怒っているときは、だれでも頭が悪くなるのです。怒っているときに下す判断は、まず、間違っていると考えたほうがいいでしょう」(p.47)
そして、こうまとめる。
「とにかく、反応するな」(p.53)
飲み会でも会議でも、疲れる瞬間はだいたい同じだ。
「言い返したい」「突っ込みたい」「訂正したい」。
その衝動に乗ると、場は荒れ、あとで自分が消耗する。
怒っている感覚がない人でも、とにかく反応することで、消耗している人は多いのではないだろうか。
頭のいい人は「我慢強い」のではなく「損失を知っている」
本書は、頭のいい人が感情を抑える理由を精神論ではなく損得で語る。
「頭のいい人は“キレること”“感情的になること”でどれだけ大きな損失を被るか知っています。(中略)頭のいい人は感情的になったとき、すぐに反応するのではなく、感情をコントロールし、冷静になって考えるほうが、メリットがあることを知っていて、その術(すべ)を身につけているのです」(p.48)
つまり、頭のいい人は「我慢強い」のではなく、「反応すると損だ」とわかっているのだ。
では、反応しないためにはどうしたらいいのだろうか?



