80歳を過ぎてからプログラミングを学び、アプリを開発した若宮正子氏(右)は「リカレント教育」の成功モデルといえる(写真は2017年、米アップルのティム・クックCEOと撮影したもの) Photo:picture alliance/アフロ

「人手不足は深刻なのに、なぜ賃金の平均値はもっと上がらないのだろうか」。こういった疑問を持つ人は多いだろう。

 7年前に比べれば、アルバイトや派遣社員の時給は顕著に上昇しているし、正社員の初任給も着実に増加している。しかし、賃金水準が最も高い45~54歳の正社員は伸びが非常に小さいか、減少しているケースが多い。その世代は逆に早期退職のプレッシャーすら受けている。これでは全体の賃金の平均値は上がりにくい。

 この構図は人口動態からも説明できるだろう。バブル経済ピーク時近辺の1990年と今年の人口を年齢階層別に比較してみよう(国際連合の資料より)。

 高校生・大学生がアルバイトとして労働市場に参加し得る15~19歳の人口はこの30年で43%も減少した。新卒、第二新卒の供給源である20~29歳は32%減だ。30~44歳で見ても18%減である。ところが、それより上の世代では状況が一変する。

 45~49歳の人口は、逆に30年前より10%も多いのだ。50~54歳も6%多い。この世代は大企業ならば本部の管理部門にいる人も多いと思われる。そうした仕事はITの導入によって30年前より効率化が大幅に進んだ。仕事は減っているのに社員数は多いとなれば、賃金は上がりにくい。