衆院予算委員会の理事会に臨む委員長の坂本哲志(中央)ら。坂本は「委員長職権」を使って強引に審議日程を決定したとされる Photo:JIJI
首相の高市早苗の独り勝ちだった衆院選挙から1カ月。砂塵もうもうでよく見えなかった永田町の内部がようやく姿を現しつつある。中でも際立つのは、高市が発散する「万能感」(中央省庁幹部)だろう。自身が断行した衆院解散によって大幅に開始がずれ込んだ国会の予算審議も、年度内成立に向けて遮二無二突き進む。しかし、高市に諫言する側近や幹部はほとんど視界に入ってこない。むしろ高市自身が面会を拒絶している様子が伝わってくる。
それを象徴したのが3月4日の高市の行動だ。米国とイスラエルによるイラン攻撃という異常事態が進行中にもかかわらず、高市の面会記録はゼロ。東京新聞は「首相、謎の官邸巣ごもり」と報じた。高市に健康面で何か問題があったわけでもなさそうだ。
むしろ、国内外では重要ニュースが錯綜した日でもあった。スリランカ沖でイランの軍艦が米潜水艦の魚雷によって撃沈された。一方、イランによるホルムズ海峡の封鎖が続いた。国内でも東京高裁が旧統一教会に対し、一審に続き解散を命じる決定を行った。旧統一教会を巡っては自民党議員との深い関係が指摘され、元首相の安倍晋三が狙撃される事件にまで発展した。いずれもトップリーダーである高市がコメントすべき事柄だったが、高市は結果として無視することになった。
しかも、高市が説明責任を果たすべき場でもある国会も機能不全に陥っている。自民党執行部も唯々諾々と高市の命じるままに動く。衆院予算委員長の坂本哲志は「委員長職権」を使って強引に審議日程を決定した。石破茂前政権で国対委員長を務め、低姿勢を貫いた坂本とは、とても同一人物と思えない変身ぶりだ。しかし、数を背景にした振る舞いは、知らず知らずのうちに自民党全体におごりと慢心という空気を生む。







