スプリントとTモバイルのロゴ
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 党派色の濃いこの時代の裁判官は、まるで政治家のように振る舞うことがあまりにも多い。従って、政治的圧力に抗してTモバイルとソフトバンクグループ傘下スプリントの合併を承認したビクター・マレロ連邦地裁判事の判断は称賛に値する。彼の判断は、無線通信分野の競争を促進し、米国の第5世代移動通信システム(5G)の構築を加速させるだろう。

 Tモバイルは2年近く前にスプリントとの合併を提案した。その内容は素晴らしいものだった。両社は、通信料金を引き上げることなく、全米地域の97%をカバーする5Gネットワークを3年以内に構築すると約束し、連邦通信委員会(FCC)のアジト・パイ委員長の祝福を受けた。

 しかし、これまで何件かの通信分野の合併を阻止してきた司法省の反トラスト部門は、不満を表明した。同省のマカン・デラヒム反トラスト局長は、合併を認めたが、条件を付けた。同局長は、両社が衛星放送会社のディッシュ・ネットワークに対し、プリペイド携帯サービスを破格の安値で売り渡すとともに、2万カ所の通信基地局へのアクセスを提供することを求めたのだ。これは第4の競争勢力を巧みに侵入させようとする試みだった。

 こうした動きにはお構いなしに、民主党系の13州の司法長官が訴訟を起こした。彼らは、ほとんど証拠を示すことなく、新生Tモバイルが無線通信分野の競争を阻害し、料金を押し上げると主張した。バラク・オバマ前大統領が指名したマレロ判事は、合併に関する173ページに及ぶ客観的調査資料を通じて、彼らの主張を系統立てて論破した。