自分の見えている世界が「正しい」ものではなくて、相手には相手の見えている世界があり、ストーリーがある。それを変えることはできない。だからただ、相手を対等な人間として「受け止める」。自分が大変だったということと同じように、相手も大変だった。その真実を、“透明な目で”見る。そのまま見る。タケシさんが妻との関係を取り戻すことができたのは、そんな彼のありようの変化が大きかったのかもしれません。

 アサーティブが大切にしている心の姿勢に、4つの柱があります。「自分に正直で相手にも誠実であること」「相手に伝える時は率直であること」「自分も相手も尊重して対等であろうとすること」「自分の行動によって起こる結果に責任を持つこと」の4つです。

 相手を変えようとするのではなく、私たち自身が誠実で率直であり、対等な目線で、誰をも責めないスタンスで立つこと。相手からの信頼を勝ち得ることができるのは、私たちのそうした心のありようの結果なのかもしれません。

 今回のタケシさんのストーリーのように、「伝え方」を工夫することで、相手への伝わり方は変わります。アサーティブなテクニックを使うことで、自分の言いたいことは確かに「伝わる」ようになります。しかし、「伝わる」ようになることが、アサーティブの目的ではありません。コミュニケーションを変えていくことで、相手とより豊かな関係を築くこと。そうすることで、自分自身が幸せに生きられること。それが、「アサーティブに伝える」ことの根本にあるのです。