地域で共産党の代表を務めるシャオ・リファンさんは新型コロナウイルスの発生以降、自分の監督下にある数千人の住民について、隔離や入院の必要がある患者の把握を手伝ったり、体温を確認したり、食品や医薬品を届けたりしてほぼ休みなく働いている。「全てを社区に押し付けている」とシャオさんは話す。社区とは地域の住民組織のことだ。「私たちは医者ではない」毛沢東時代の遺産である住民組織は党の命令を実行したり、もめ事を解決したり、一般レベルの社会秩序を維持したりする政府の住民監視組織だ。しかし湖北省武漢市では住民組織が新型コロナウイルスとの闘いの最前線に送り込まれている。人口1100万人の同市では、本稿執筆時点で新型ウイルスの感染者数が約3万6000人に上り、行政と医療制度の対応能力を超える事態となっている。