ケネス・グリュック氏は数年前、米ノースカロライナ州ダーラムまで足を伸ばした。グーグルが消費者の個人的生活を一般に考えられている以上に立ち入ってのぞき見ていることを証明したかったのだ。グリュック氏はグーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した新しいスマートフォンを購入し、機内モードにしてWi-Fiを切り、愛車のピックアップトラックの小物入れに置いた。週末の移動中、このスマホは同氏のたどった行程や目的地だけでなく、大量の貴重なデータを追跡していた。例えば、気圧だ。それで同氏がショッピングモールの何階に行ったかなどが分かる。3日後、同氏がインターネットに接続すると、スマホはこの間に収集した一連の情報をグーグルに送信した。同氏はプライバシー法案を作成中の米議会議員にこの結果を知らせた。法案はまだ審議中だが、もし成立すれば、巨大IT(情報技術)企業が消費者の個人情報を利用し、広告を販売する能力を制限できる。